ソフトウェア工学研究の日々

ソフトウェア工学の学術研究を紹介しています。ソフトウェア開発に関する調査と実験が大好きです。

バグのあるプログラムからバグのないプログラムへの機械翻訳

機械翻訳技術は、たとえば英語の文を日本語の文へと自動的に翻訳するというのが一般的な使い方だと思います。ソフトウェア工学分野では、これを「バグのあるプログラム文からバグのないプログラム文への翻訳」とすることで、バグ修正に適用する方法を実験し…

オープンソースソフトウェアプロジェクトの人口ピラミッド

オープンソースソフトウェア開発において、開発者の人数は非常に重要です。最近は企業に雇われてフルタイムで働く開発者も多くなっていますが、一時的にプロジェクトに関わってくれる人たち、単発で貢献してくれる人たちの貢献度も無視できません。 あるプロ…

パッチ投稿経験が増えてもパッチに含まれる軽微な問題の個数は減らない

パッチを投稿してコードレビューを経験するほど、自分でパッチの問題に気付くことができるようになり、投稿パッチに含まれる間違いが減っていくのではないか。そんな仮説に基づいて、開発者のパッチ投稿回数(=経験値)と、パッチに含まれる軽微な問題の件…

コードレビューの修正内容は開発者の勉強に役立ちそう

コードレビューはソースコードの潜在的な問題を取り除き、読みやすさを向上するために重要な活動だと言われています。私たちの研究室では、将来的にコードレビューをある程度自動化したいという考えを持っていて、コードレビューがどんな修正を行っているの…

手法提案系研究と調査系研究

本ブログでは、様々な研究を「手法提案系」「調査系」の2つのカテゴリに分類して紹介しています。これらは正式な分類というわけではなく、私たちの研究室でときどき使う言い回しの一種です。 手法提案系研究は、既存の何らかの問題、通常はソフトウェア開発…

ライブラリのセキュリティ問題がアプリケーションに影響しないケースも多い

ライブラリの名前とバージョン番号を指定するだけで自動的にダウンロード等を完了してくれる依存性管理ツールのおかげで、どのライブラリを使っているかが機械的にチェックできるようになり、古いバージョンのライブラリを使っているとセキュリティ問題のあ…

Java プログラムのリアルタイムプロファイラの開発

プログラムの実行に時間がかかる、一瞬動きが止まって見えるといった、実行速度に関する問題が生じることがあります。そんなときに使えるのがプロファイラと呼ばれるツールで、Java の場合は Oracle JDK に標準で付いてくる hprof がよく知られていると思い…

ブロックチェーンを用いたソフトウェアビルドプロセスの記録

ソフトウェアの実行可能ファイル(いわゆるバイナリ)は、ソースコードさえあれば自由に作成することができます。プロの分析者であればバイナリに含まれた定数値などから元のソースコードをある程度は推定することができますが、多数のソースファイルのどれ…

ソースコードからの類似したコード断片の検索

プログラミングをしていると、似たような、少しだけ違う処理を何度か書かなければならないことがあります。うまく関数などの単位にまとめられれば良いのですが、ループ構造などをうまくまとめられない場合もありますし、開発の担当者が異なるために編集でき…

ライブラリ利用例カタログの自動生成

ソフトウェアの色々な機能を作るための部品となるライブラリ。それらを初めてを使うときに頼りになるのが利用例、サンプルコードと呼ばれるものです。StackOverflow などの Q&A サイトでも、「〇〇を使って××するにはどうしたらいいか」という質問がよく行わ…

開発者は使用するライブラリを更新しない

ソフトウェア開発では、画像の読み書きやネットワーク接続など、基本的な処理を提供するライブラリを土台にして、開発したいソフトウェアに固有の機能を作っていきます。 ほとんどの人は、開発を始めるとき、あるいはライブラリを必要とするような機能を実装…

ソースコードのコメントに登場する URL の役割

プログラミングの最中に、ライブラリの使い方やアルゴリズムの書き方など、様々な情報をインターネット上から集めてくることが一般的になっています。プログラムを書いたときに参考にした情報の URL をコメントとして一緒に記述しておけば、あとで参照できる…

はじめに

このブログは、ソフトウェア工学の学術的な研究論文の内容を、 筆者の所属する奈良先端科学技術大学院大学ソフトウェア工学研究室の成果や関連研究を中心として、できるだけ平易に紹介することを目指しているものです。 ソフトウェア工学は、高品質のソフト…